概要

 こびとは形態や生態に基づいて分類されている。
まず全て「コビト綱」に分類され、次いで生態的特徴から「目」に分類され、次にトウチンの形態から「科」、最後に同一のこびと属を示す「属」に分類されている。

例) カクレモモジリの場合
「コビト綱 > 亜胚目 >退触頭科 >モモジリ属」

  • 亜胚目:桃の種子(胚)に擬態する生態をもつことから。
  • 退触頭科:トウチン機能を有しておらず、短いことから退化したものと考えられることから。

「目」「科」「属」の間に上下関係は存在しない。
「属」は同種族を示し、「目」は生態、「科」はトウチンの形態からそれぞれ分類される。系統を持つ分類ではなく、タグ付けのような分類手法である。

 こびとの分類手法は、2019年現在の一般的な分類学における分類方法とは一致しない。こびと独自の分類手法であり、こびと分類学として独立している。
これは、雌雄の違いも明らかではなく、卵生・胎生も不明、そもそもどのように個体を増やすのかですら謎というこびとに対して、進化の系統や、DNA配列などから考えられる系統を用いて分類する一般的な分類手法を適用できず、独自の分類手法を用いていると考えられる。

一般的な分類学との違い

1.分類の仕方が異なる
 こびと分類の分類手法は表形分類学に近いが、独自の手法である。

 分類学における生物の分類は、大きく4種類が存在する。進化の分岐と形態の類似性で分類する「進化分類学」。同一の形態を持つ先祖から受け継いだと考えて分類する「分岐分類学」。生物全体を似た類似性を定量的に評価し近い生物をグルーピングする「表形分類学」。「分子分類学」は進化の系統をDNA配列等から求める分類法である。
 現在、公式で発表されているこびとの分類は、先ず全てに共通する「コビト綱」から始まり、次に「目」、「科」、「属」と続く。 「目」はこびとが持つ生態によって分類されている(捕虫する「虫食目」など)。次の「科」はトウチンの見た目の形状によって分類されている(「退触頭科」「長触頭科」など)。一般的な分類学においては、上位の階級(目など)から下位の階級(科など)に向けて、形態が細かくなっていくのに対して、こびとの分類は、「目」と「科」の間に、上下関係はない。これは、「亜胚目」と「虫操目」の両方に「退触頭科」が存在することなどからも言える。 こびとの分類法は、生態などの形態の類似性によって分類されることから「表形分類学」に基づく分類法に似てはいるが、上位と下位の関係性はなく、生態とトウチンの見た目を、それぞれタグ付けするような独自の分類手法である。

2-1.命名則が異なる(1)
「亜」は、サブグループを示すものではなく、その他の生物への類似を示す。


 一般的な分類学において「亜」を名前に含める場合は、一つの階級内でさらに詳細のサブグループを作る際に用いる。例えば、「脊椎動物門」の中で「脊椎動物亜門」のように使用する。こびと分類においては、「亜」の付く分類は存在するものの、そのメインとなるグループが現時点では存在しない。(「亜胚目」はあるが「胚目」は分類自体が存在しない)。こびと分類で現在公式に「亜」のつく分類項目は「亜胚目」「植亜目」「菌亜目」である。 これらに分類されるこびとは、果物の胚や、植物、菌類に類似する形態をしていたり、これらに擬態する特徴を持つ。このことから、こびと分類における「亜」とはサブグループを示すものではなく、こびと以外の生物の似た生態、形態を持つ、といった意味で使用されているものと推測される。
日本語の「亜」という漢字には、「次のもの、2番目のもの」という意味があり、「ある生物に形態・生態が似るもの(次ぐもの)」という解釈で、使い方としては間違っていないと考えられる。

2-2.命名則が異なる(2)
学名の付け方が異なり接尾語、接頭語などのルールはなく、こびとの生態・形態を示す動詞・名詞をラテン語等で組み合わせたものとなっている。


 分類学における命名は、接尾語が定められている。例えば、植物における目に関しては「~ales」で終わる、科は「~aceae」で終わる等である。こびと分類においては、生態や形態を表す動詞や名詞を英語・ラテン語等で組み合わせて命名されている。例えば「竹入目」の学名である「intrabambusa」は、「intra(内部)」+「bambusa(ホウライ竹属)」を合わせた言葉であり、竹の内部で暮らす竹入目のこびとの生態を表す言葉である。